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2017年04月02日


人工知能

人工知能がクローズアップされています。シンガポールはビッグデータを得意とするところ。実用例を見ながら、うまく付き合うことができるのでしょうか。

※ライブラリーにはシンガポールの会計基準を網羅し、簡単な説明を付しています。日本基準との比較にお役立てください。http://www.jdesk.sg/library/index/1

(文責:上中)


この原稿を書き始めた4月1日に、将棋の棋士とコンピューターが戦う第2期電王戦二番勝負(ドワンゴ主催)の第1局が栃木県日光市の日光東照宮で行われました。結果、人工知能(AI)搭載の将棋ソフト「PONANZA(ポナンザ)」が71手で佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に快勝したそうで、現役のタイトル保持者がソフトに敗れました。公式の場で敗戦したのは初めてであることから、急激な成長を遂げたソフトの実力が棋界最高峰の名人位を上回るまでになったというニュースになりました。(朝日新聞DEGITALから引用)

 

AIについては、弟がソフト会社のAI事業部に就職し当時原発オペレーション配属となった1985年頃から知っていました。先月は、シンガポール日本商工会議所主催のAIの講習会に参加しました。講師であるソフトバンクロボティクスの中山五輪男氏のお話しでは、その当時のAIは「物知りなAI」で、現在のAIは第3次世代に進化し、今では「学習するAI」と呼ばれるそうです。同氏によればAIの誕生からすでに60年ということで、AI君も晴れて還暦を迎えたとはそれまで知りませんでした。ちなみに、第1次世代は「考えるのが早いAI」だそうで、かつて弟が携わった80年代の第2次世代は、570億円の国家プロジェクトにもなったものの、さほどクローズアップされることもなく目立たない時代を過ごしたようです。最近になってAIがもてはやされることは少し不思議でもありましたが、第3次世代は前の第2世代と大きく異なり、もはや人間が互角に勝負できる相手ではなくなりつつあり、我々の生活や社会経済を大きく変えるものであることがよく解りました。

 

そんなAIが脚光をあびるのを知りつつも期待を持って静観していましたが、フィスコ時代にお世話になったRPテック社の櫻井豊氏が「人工知能が金融を支配する日」(東洋経済新報社)を昨年8月に出版されたり、「AIによる雇用減、アジアは速く アンディ・イー氏」(日本経済新聞より引用)といった記事が世の中を騒がせ、私もそろそろ勉強しておかなくてはと思い立ちました。しかし、なかなか難しいテーマなので過日、日本に帰国した際に比較的やさしそうな2冊の新書を購入してウォーミングアップしてみることにしました。

 

購入したのは「人工知能の核心」(羽生善治、NHKスペシャル取材班著、NHK出版新書)と「文系のための理数センス養成講座」(竹内薫著、新潮新書)の2冊です。前者はAIの話題になると必ずチェスや囲碁・将棋の話が登場しますが、ちょうど「聖(さとし)の青春」という「東の羽生、西の村山と呼ばれた伝説の棋士」と呼ばれた主人公の映画を機内上映で観たところだったので迷わず即決しました。後者は同書の帯にある「AI時代を生き抜く知性をあなたに」というキャッチコピーに心惹かれたことと、竹内氏が出演するEテレの「サイエンスZERO」という科学番組のファンでもあり、いつも楽しく拝見していたので、同氏の解説なら文系の私でも柔軟に対応できるのではという期待で購入しました。

 

「人工知能の核心」の前書きでは、1996年に実施した「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」という日本将棋連盟のアンケートに対し、多くの棋士が「そんな日は来ない」と真っ向から否定した中で、羽生善治氏だけが2015年と予想したことを紹介しています。NHK取材班は、羽生善治氏が人工知能の進化を人間を脅かすものと否定的に捉えるのではなく、人間の新たな可能性を切り拓くものと肯定的に考える思考の持ち主であり、「人工知能を探る」という特番のナビゲーターにぴったりだとして出演依頼をし、快諾を得たそうです。この本にも、羽生流の人工知能が人に追いつく過程や人間との違い、人間と人工知能の付き合い方などが興味深く書かれています。人工知能の発展形態を知ることもさることながら、プロ棋士の大局観や図形認識など人間の持つ天賦の能力を知ることも勉強になります。良い手は美しい形をしていて、この「美意識」をいかにきめ細かく磨き込んでいくかが将棋の強さに関わるそうです。実社会でもよくできた仕事は秩序があり、美しいと感じることがあります。ゴルフコースもそうですね。ただ、この美意識も人間だけのものでなく、人工知能が学習を重ねて行くとその能力を持つことになると言われています。竹内氏の本でも「方程式やプログラムと詩や音楽では「そもそも全く違うものではないか」と思われるかもしれません。でも、本質的にはみんな「記号表現」なのですから、完成品の美しさに理系・文系の違いなどありはしないはずです。」と指摘しています。

一方で人間も人工知能から学んで行くことで、人工知能と新たな関係を持つことができるかもしれません。

 

 先日の講師だった中山氏のプレゼンテーションでは、トランジスタと人間の脳細胞の数との比較があり、2018年にトランジスタが脳を超え2045年にはコンピュータが全人類の知性の総和を超える「Singularity(技術的特異点)」域に到達し、「超知性」の到来を予測していました。そして、同じ2018年はIOT(インターネットにつながるデバイスの数)は85億個となり78億個のモバイルを超え、2035年には合計1兆個のIOTが活躍する世の中になると予測されるそうです。そのような世界では、Big Dataとともに活用されていないDark Dataの中からAIが価値あるデータを拾って提供することでビジネスに変革をもたらすことになるそうです。羽生氏の著書にも、人工知能の発展の3つの要素として「ビッグデータ」、「ハードウェアの向上」そして「ソフト」、特にDeep Learning(深層学習)を挙げています。Deep Learningの特徴ですが、中山氏によれば「特徴量をAI自らが学習し分類プロセスを設計」するので、人間のように各々の特徴を意識せずに見分けることが可能になるそうです。わかりやすい例として、猫、犬それにオオカミの特徴を膨大なデータの中からコンピュータ自らが秩序立てて分類し、ハスキー犬の写真を示してそれがどれに該当するかを判断することができるということを説明していました。コンピュータが膨大なデータだけで、人間が教えなくても人間と同様の一定の秩序を自ら組み立てる能力が備わるということのようです。

 

 IOTという言葉が流行りだした頃、友人とソフトバンクのPepperのショールームに出掛けたことがありました。残念ながら、当時のPepperはスムーズな動きをしていませんでしたが、孫正義氏のPepperがいずれ1人1台の普及が可能になるように価格設定した(本体価格19万8千円)という話を聞き、是非ほしいなと思ったことを思い出しました。(http://www.softbank.jp/robot/consumer/price/

確か、吉本興業の芸人のプロジェクトチームもソフトバンクに常駐してソフト開発をしているようでしたが、「ロボギャグ」というソフトができたようですね。(http://www.softbank.jp/robot/consumer/enjoy/application/

この先、監査や税務の現場にもPepperを同伴させ、意見交換するということも考えられるかもしれません。羽生氏の本には「私(羽生氏)がコンピュータ将棋に関心を持っているのは、コンピュータ将棋がどれほど強くなるかというよりも、人間と同じような手が指せるようになるか、についてです。(中略)あるいは人間よりも強くなったコンピュータが考えた手が、はたして本当の意味でベストなのかどうか知りたいと思います。」という2007年の発言を紹介しています。今でも同氏は人工知能が自分と同じような手を考えるのか、また、最善手を考えるのかを知りたいようです。ただし、ディープラーニングによって実現される思考はブラックボックスであり、意思決定の過程がわかりにくいので解明するのが難しいと羽生氏は指摘しています。監査や税務の相棒となるPepperの示した考えをそれがベストかどうか解明していくのは、やはり自分たち人間なのでしょうね。竹内薫氏も「自動車やパソコンの登場に適応してきたときと同様に、AIに対抗するのではなく、それを「使いこなす」という発想」が大切であると指摘しています。

 

シンガポールはビッグデータの処理を得意としています。人工知能が社会に適用される例としてシンガポールの交通システムがNHKスペシャルで取り上げられました。道路の混み具合を人工知能がリアルタイムに認識して渋滞を改善するシステムは羽生氏の本にも紹介されています。世間では、自動運転自動車の導入など華々しいイベントが行われていますが、スマートネーションとしてシンガポールはそれ以外にも人工知能の活用を積極的に取り入れています。(https://www.imda.gov.sg/infocomm-and-media-news/whats-trending/2015/6/iot-and-the-smart-nation)そのような現実社会での活用を垣間見ながら、自然とAIと付き合っていけるようになれたら良いと思っています。

いつの日か、ゴルフの同伴競技者にPepperが加わるときが来るのでしょうか。それともキャディーとしてバックを担いで現れ、一打ごとに明快に分析してくれたり、良き相棒として励ましてくれるのかもしれませんね。

※ライブラリーにはシンガポールの会計基準を網羅し、簡単な説明を付しています。日本基準との比較にお役立てください。http://www.jdesk.sg/library/index/1


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at 17時22分

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